皆様、こんにちは。
チームネットラボのU5swです。
今回は、先日発表された終電繰り上げに関して取り上げていきます。
首都圏、関西圏を中心に来春のダイヤ改正で終電の繰り上げを実施
JR西日本
JR西日本はこのほど、来春近畿エリアで実施する主要線区の終電繰り上げのダイヤを発表した。
https://tetsudo-shimbun.com/headline/entry-2883.html
JR西日本では、関西圏(アーバンネットワーク)を中心に各線区の終電を20〜30分ほど繰り上げることを発表しました。
繰り上げの例として、大阪駅でのJR京都線(高槻、京都方面行き)の見直し前後の0時台の時刻表を取り上げてみると、
見直し前の0時台
- 0分発 新快速 野洲行き
- 5分発 普通 高槻行き
- 15分発 普通 京都行き
- 25分発 新快速 京都行き
- 31分発 普通 高槻行き
見直し後の0時台
- 0分発 新快速 京都行き
- 10分発 普通 高槻行き
これを見ると、京都行きの最終が25分、高槻行きの最終が21分繰り上がっていることがわかりますね。
このような終電繰り上げを各線区において実施していくとのことです。
JR東日本
JR東日本、2021年春のダイヤ改正で終電時刻の繰り上げ実施
https://travel.watch.impress.co.jp/docs/news/1274806.html
JR東日本も主に東京100km圏内において、30分程度終電の時刻を繰り上げることを発表しています。遅いところでは1時台まで運転されている終電も、改正でほとんどが0時台になることでしょう。
東急電鉄
東急電鉄、終電の繰り上げを検討: 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64503360R01C20A0916M00/
東京、神奈川で運転している大手私鉄の東急電鉄も終電の繰り上げを検討しているとのことです。こちらも遅いところでは1時台まで運行されている路線があり、深夜時間帯の輸送状況を踏まえての判断をしていくとのことです。
大手私鉄ではこの他、小田急電鉄や京浜急行電鉄も繰り上げを検討しているとのことです。
終電繰り上げに至った2つの大きな要因
新型コロナウィルスの流行に伴う、深夜時間帯の利用客の減少
新型コロナウイルス感染症の流行を契機とした働き方や行動様式の変化を受け、鉄道の利用状況は大きく変化している。特に、深夜時間帯の利用は大きく減少。同社では、新型コロナウイルスの流行が収束したあとも、こうした環境の変化は元に戻ることはないと見ている。
JR東日本、2021年春のダイヤ改正で終電時刻の繰り上げ実施
https://travel.watch.impress.co.jp/docs/news/1274806.html
今年は耳にタコができるほど聴き、世界を蝕んだ「新型コロナウィルス」。日本国内においても感染拡大防止の観点から緊急事態宣言を発令し、多くの企業や学校が営業停止ならびに短縮、また「ステイホーム」の徹底から自宅でも仕事ができる「テレワーク」の導入など、これまで当たり前だった生活ができなくなり、新しい生活へのシフトを余儀無くされました。
「ステイホーム」の徹底と「テレワーク」の導入と普及によって、これまで通勤、通学で鉄道をはじめとする公共交通機関の利用客が大幅に減少し、ほとんどの鉄道会社は売り上げが減少し、苦しい経営を強いられています。特に、三密を避けるという観点から、夕方から深夜にかけての「夜の街」において、飲み会や宴会も制限されたことにより、深夜時間帯の利用客はほぼいなくなり、空気輸送状態が続く状況となりました。
せっかく遅くまで運行しているのにもかかわらず、利用者がいなければ運行させる意味がないですからね。 1つの電車のために運転士や車掌、駅員、輸送司令員といった鉄道職員を必要としますし、電車であれば当然電気も多く使用しなければなりません。多くの利用客に使用してもらわないといけないのに、費用対効果が思わしくない状況が続けば、当然終電繰り上げに踏み切ると思います。
保線作業員の減少に伴う工事時間帯の確保
また、鉄道工事を取り巻く環境では、作業員が減少する一方で、工事量は増加。鉄道整備の改良・保守に関わる工事は、多くの作業を終電から初電までの間に行なっているが、1つの作業を複数日に渡り分割して実施するため、効率が悪い。作業の近代化・機械化を推進するためにも、240分以上の列車の間合いが望ましいとされる。
JR東日本、2021年春のダイヤ改正で終電時刻の繰り上げ実施https://travel.watch.impress.co.jp/docs/news/1274806.html
鉄道を毎日安心安全に運行できているのは、寝静まった深夜時間帯に路線を保守、整備している保線作業員のおかげであることは言うまでもありません。
そんな保線作業員も近年では少子高齢化の影響も受け減少傾向にあります。一方で工事の量は増え続けているため、1人あたりの工事量が大幅に増え、その分多くの時間を費やすこととなっています。工事作業を行う機械も導入されつつありますが、それでも厳しい状況に立たされていることに変わりません。
そこで、終電を繰り上げることで営業時間を短縮する代わりに、作業時間に余裕を持たせ、鉄道をより安心安全に運行させるための作業を十分行えるようにしようとのことです。これは時間にゆとりを持って整備する保線作業員の方にメリットであり、また、安心安全に鉄道を運行することができる鉄道会社にもメリットがあると考えられます。
終電繰り上げに対する個人的見解
ここからは私見です。今回実施される予定である終電繰り上げに関しては、
「賛成という言い方はおかしいが、今回の情勢を考えるとやむを得ない」という見解です。
まずは、新型コロナウィルスに伴う生活様式の変化により、鉄道のニーズが低くなってしまったこと、今後いつウィルスが収束するのかわからない状況で、今でも感染者が増え続けている状況を踏まえると、深夜時間帯の利用者が回復することは厳しいと考えられます。深夜時間帯の営業の閑古鳥状態が続くのであれば無理に運行させる必要はないですし、営業時間を短縮させることで、鉄道職員の勤務時間を減らせますし、業務の負担も少しは軽くなると考えています。
また、保線作業員の状況を考えると、安心安全な鉄道運行を続けていくためには多くの時間をかけて労力を注ぎ込まないといけないため、保守管理面においても止むを得ないなと考えています。
ある界隈からは、「終電繰り上げは身勝手だ!」というクレームも飛んでいます。確かに居酒屋や夜遅くまで働いている方にとって終電繰り上げは痛いですよね…
しかし、日本全体がこのようなシビアな状況になってしまった以上、周りが合わせたり、考え方を変えたりしないといけないのも事実です。
鉄道会社も苦しい状況の中経営していかないといけませんし、もしどんどん赤字を膨れ上げて経営破綻してしまったら元も子もないです。また、保線作業時間が確保できなかったことで営業運転を遅らせないといけないってなればかえって迷惑をかけてしまうことになりかねません。そういったことからクレームを承知でこのような苦肉の策を講じなければならないのです。実際、終電が過ぎたとしてもタクシーなり帰れる手段はありますからね…
私は「遅い時間帯でも鉄道運行があって当たり前」というスタンスは捨てて、「遅い時間帯でも鉄道運行をしてくれている鉄道会社に感謝すること」を忘れずに生活していくべきだと思います。
また、近年では「働き方改革」を推進していますし、終電繰り上げを機に社会も働き方も変わるきっかけになると良いかなと思っています(とは言ってもそう簡単に変わらないのが現実ではありますが…)。
まとめ:終電繰り上げによって個人そして社会の生活スタイルを見直せる機会になると良い
いかがでしたでしょうか?
今回は来春の改正で行われる終電繰り上げに関して取り上げていきました。
終電繰り上げは一部の方にとっては不便で痛いニュースだと思いますが、今回の情勢と鉄道会社の事情からやらざるを得ないこと、日々の安全運行を支えている保線作業員のありがたさを認識することができたと思います。
これまで当たり前のように過ごしてきた生活も改革を迫られています。不満もあると思いますが、考え方や認識を変えていかないとこれからの社会で生活することは厳しいと考えられます。その1つのきっかけとして今回の終電繰り上げがあります。大変ではありますが、現状を受け止めて新たな生活に順応していけるよう1人1人が意識を持ってやっていきましょう。そしてこの終電繰り上げによって各鉄道会社が良い方向に進んでいけることを祈ります。
今回はここまでとなります。ご覧いただきましてありがとうございました!