Mossphloxです。
「今日から俺は!!」という2018年のドラマを今更ながらHuluで視聴しました。
主人公・三橋貴志(賀来健人)とその親友・伊藤真司(伊藤健太郎)が、高校転校と同時にツッパリを始めて繰り広げるドタバタ劇を描いたコメディ作品です。
実写化が決まった時の公式画像を見た時にまず思ったのは「トゲトゲの人(伊藤真司)の髪型は実写化可能なんだね」という驚きでした。
ビジュアルの印象できっとトゲトゲは悪い人なんだろうなと予想していましたが、ドラマを観てみるとトゲトゲは良い人でした。
主人公と「開久高校」を除くキャラクターは基本的に愛すべき人達です。
1980年代という設定のため、街並みや登場人物のヘアスタイル、言葉遣いがそれらしくしてあるのも魅力です。
「サ店」「レスカ」「マブい」といった昔の流行語が頻繁に使われ、昭和の空気を味わうことができます。私は昔からよく喫茶店のことを「サ店」と呼ぶので、まるで仲間を得たような心情になりました。
登場人物のヘアスタイルは、主人公とトゲトゲ君の髪型の再現度もさることながら、ヒロインである赤坂理子(清野菜名)の髪型がよくできています。1980年代特有の髪のボリュームがよく表現されていて、着崩していない制服と黒革の手持ちカバンと調和がとれています。そして清野菜名さんの風貌とぴったり合っています。
巷では、ヒロイン役は清野菜名さんよりも橋本環奈さん(実際の配役では女番長『京子』)の方が適しているとの声がありますが、私はそうは思いません。清野さんの方が1980年代向きの顔立ちで、橋本環奈さんはもう少し現代的な顔立ちですので、このドラマのヒロインには清野さんの方が合っていると思います。
一番好きなキャラクターは太賀さんの演じる「今井勝俊」です。
主人公とは別の高校の番長で、困っている人がいると放っておけない、非常に人情家のツッパリです。
いつも芝居がかった陽気な調子でジョークを飛ばして周りを楽しませる、このドラマのムードメーカーです。
私は第1話から順々に観るのではなく、今井が多く登場する回を抽出してこのドラマを観ました。
特に第4話は、今井の魅力が最も色濃く出た回です。初めて観る人にはこの回を最初に観て欲しいです。
なお中の人の太賀さんは「ゆとりですがなにか?」のスピンオフドラマである「山岸ですがなにか?」で山岸役を演じ、フルウ(正しくはフールー)いうパワーワードを生み出した俳優です。芝居がかった演技が非常に魅力です。
今井とその弟分である「谷川」(矢本悠馬)との関係性にも心が温まりました。
今井は喧嘩は強いものの、なんともツイていない男です。他校との抗争でもまたプライベートでも、えらい目に遭うことが多いキャラクターです。
人間、ひどい目に遭っている人を目にすると、その人の近くにいると自分も同じ目に遭うだろうという懸念を抱きます。それゆえ、同情しつつもその人を助けず、むしろ避ける、離れる。これはほとんどの人が意識的にせよ無意識にせよやってしまうことです。
ですが谷川という男は、今井が優勢の時も劣勢の時も、決して態度を変えることなく今井を支えます。
観ていて辛かった点もあります。
主人公と今井は喧嘩友達のような関係で、主人公が今井によくいたずらや嫌がらせをします。
主人公の今井に対する各種の嫌がらせは、笑いにしては度が過ぎており、気持ち良く笑えるような行動には思えませんでした。
この作品の登場人物は不良を含めてほとんどが愛すべき人達なのですが、主人公にだけは感情移入できません。
特に第4話で今井の恋路をあの手この手で邪魔したこと、第7話で今井を廃ビルに監禁してバナナの皮や玉子の殻を食べさせたこと、スペシャルドラマで今井のネックレスを奪って石で破壊したことに至っては、あまりに不当であり、主人公に全く共感できませんでした。
原作者ならびにドラマ制作者はギャグとしてこれらの話を作ったというのは理解できますが、自分は笑えませんでした。ネタというには今井の受けた被害が大きすぎ、とても笑うような行動には思えませんでした。
「今日から俺は!!」は、1980年代の楽観的な空気とクラシカルなファッション、そして個性的なキャラクターの魅力を楽しめる作品です。
Huluで配信されていますので興味のある方は視聴してみてください。