【惜別】夜行快速列車「ムーンライトながら号」の廃止について思うこと

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皆様、こんにちは。

チームネットラボのU5swです。

今回は夜行快速列車「ムーンライトながら号」に関して説明します。

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1/22にその一報が…

時は1月22日、JR東海が発表したプレスリリースにおいて、その一報がやってきました… リンクはこちらから。

https://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000040932.pdf

臨時の快速「ムーンライトながら」につきましては、お客さまの行動様式の変化により列車の 使命が薄れてきたことに加え、使用している車両の老朽化に伴い、運転を終了いたします。

“春”の臨時列車の運転計画について

遂に、運転終了が正式的に発表されました…

昨年の春以降、新型感染症の影響もあり運行を休止していたムーンライトながらですが、これからも需要が見込めない状況が続くことから廃止が決定しました。

次の章では、ムーンライトながら号に関しての説明を行います。

ムーンライトながら号とは?

ムーンライトながら号は、春、夏、冬の繁忙期に、東京〜大垣間を東海道本線経由で結ぶ夜行快速列車です。「ながら」というのは岐阜県を流れる長良川に由来します。1996年3月16日に、前身の「大垣夜行」を受け継ぐ形で設定され、2009年3月13日まで毎日運行していましたが、以降は繁忙期の臨時列車として設定されていました。

使用車両は、2013年よりJR東日本所属の185系電車が使用されており、全車両が普通車である6両編成と4両編成をつなぎ合わせた10両編成で運行されていました。それ以前はJR東海所属の373系電車や、JR東日本の183系電車や189系電車が使用されていました。

ムーンライトながら号の1番の強みとは?

そんなムーンライトながら号ですが、1番の強みとして、

青春18きっぷを乗車券として使用することができたこと

が挙げられます。青春18きっぷは春、夏、冬の繁忙期に発行される乗車券で、JR各路線の快速・普通列車に限り、1日2370円分で乗り放題となる超乗り得切符です。ムーンライトながら号に関しては全車指定席で事前に座席指定券520円を別途支払う必要があったものの、快速列車であることから、青春18きっぷを乗車券として使用することが可能でした。そのため、長距離を横断する18キッパーや、お金がなく新幹線に課金できない人、更には新幹線に乗り遅れた人にとっては「神列車」として重宝される列車でした。指定席は常に完売の嵐で、中々簡単に手に入らないほどでした。

実際、私も2018年3月に友人と関東に旅行に行った際、青春18きっぷを使用してムーンライトながら号に乗車しました。営業列車の走らない深夜時間帯を格安で移動できた時は感動を覚えました。その一方で、夜行列車とはいえ寝台列車ではなく、常に満席の車内で身動きが取れず中々眠れなかったりと居住性はそこまで良くはありませんでした。まぁ、低価格で移動する分サービスは低いのは当然のことではありますが…

実際に乗りに行った時の動画はこちらになります!

ムーンライトながらが廃止となった理由

そんな人気列車がこの度廃止となってしまった理由としては、公式にも発表されているように、行動様式の変化や車両の老朽化が挙げられています。こういったことも詳細に、個人的な見解を交えて説明していきます。

行動様式の変化

かつては各線区において夜行列車や寝台特急が頻繁に走っていましたが、現在は新幹線の各地方への開業や線区の速達化、LCC、PEACHと言った格安航空機の台頭、経路の柔軟性や鉄道空白地域の輸送に長けた高速バスと言った交通機関が発達してきたこともあり、夜行列車や寝台特急の存在価値が低くなってしまったのが現状です。在来線で車内に泊まりながらゆっくり行くよりは、多少お金を要しても新幹線や航空機で速く行く方が時間に余裕を持ち、行動範囲を広げることができるので需要が高くなりますからね。特に新幹線は車体や両数の長さから大量輸送にも適していますし…

また、この度の新型感染症に伴い、不要不急の外出が制限されていることもあり、臨時列車を走らせても需要が見込めないし、今後も厳しい状況が続くことや、感染が一旦収まったとしても、密な環境を生み出し、クラスターを発生しかねないことから廃止に至ったとも考えられます。

車両の老朽化

続いて車両の老朽化に関してですが、こちらは東海道線のライナー列車やダイヤ改正の記事でも述べた通り、185系電車の置き換えが行われ、定期運用から外れることが決定しています。1981年から登場し、普通列車から特急列車まで幅広く使用された185系も製造から40年が経つということから、老朽化が進行しており、唯一の定期運用である特急「踊り子号」の運用からも撤退となります。今後は臨時列車として一部使用される予定ですが、近いうちに引退することとなるでしょう。

これにより、ムーンライトながら号で運転できる車両がなくなってしまいますし、代わりの車両も数や運用、保安装置の関係から今後も運行することが厳しいという状況から廃止に繋がったとも考えられます。

修善寺に乗り入れるために熱海〜三島間を新たに走行することとなり、静岡地区でもハンドル訓練が行われたE257系2500番台があり、普通車のみの5両編成を繋げて10両編成で運行すればまた実現できるかもしれませんが、車両数が圧倒的に少ないため実現は厳しいでしょう。

また、以前はJR東海の373系が東京まで乗り入れており、185系同様普通列車から特急列車まで幅広く使用され、かつ185系よりも新しい形式なので、実現できそうに思えますが、JR東日本管内での保安装置の更新に伴い、現在は熱海以東に乗り入れることができなくなっています。繁忙期の限定列車のために保安装置の更新を行うのも手間やコストがかかるため、こちらも実現は厳しいでしょう。

結論、185系に代わる車両がないため、廃止になったと考えられます。

乗務員や駅職員の夜勤負担を軽減する目的も

ここからは私の推測ですが、ムーンライトながら号の廃止の要因として、乗務員や駅職員の夜勤負担を軽減する目的もあるのではないかと考えております。ムーンライトながら号は夜行列車ということもあり、深夜時間帯を走行し、駅に停車することから、その分列車を運行する乗務員や駅職員を必要とします。このことから、繁忙期にはイレギュラーな対応が求められること、その列車のためだけに人員を要することにより、鉄道会社への負担がかかるため、その負担や手間をなるべく最小限にするためにも、夜行列車をなくすのはある意味仕方ないのかなと思います。深夜の2時や3時台に静岡県を走行していたことから、計り知れない労力を必要としていたのではないかと考えられます。

今後の夜行列車の存在意義はどうなる?

今回のムーンライトながら号の廃止に伴い、日本の夜行列車の存在意義も問われていく(かもしれない?)と思いますが、近年ではJR東日本の「四季島」、JR西日本の「トワイライトエクスプレス瑞風」、JR九州の「ななつ星」といったクルーズトレインも走っていますし、最近は117系車両を改造したJR西日本の新たな寝台特急「WestExpress銀河」が誕生していることもあり、不定期とはいえ地域の観光需要や鉄道会社の魅力向上のために走らせている夜行列車が誕生していることもあり、全盛期よりは格段に劣るものの、需要に関しては今後もある程度確保されるのかなと考えています(今後の新型感染症の状況にもよるが)。そして、唯一の定期寝台特急の「サンライズ瀬戸・出雲号」も、近年車両の老朽化が心配されているとはいえ、今でも需要のある夜行列車なので、今後も特に問題なく走り続けるのではないかなと考えています。

まとめ:時代の流れには逆らえない

いかがでしたでしょうか?

今回はムーンライトながら号の廃止に関して説明していきました。

個人的に歴史のある夜行列車が廃止されることに寂しさを感じますが、時代の流れに伴う輸送体系の変化や技術革新、鉄道の事情等を考えると致し方ないのかなと考えています。1つの時代の終焉と捉え、新たな交通手段を徐々に受け入れて行くことが求められるでしょう。

締めに一言。

ありがとう。ムーンライトながら号。

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