皆様、こんにちは。
チームネットラボのU5swです。
今回はJR西日本の新型通勤型車両の前面デザインについて取り上げていきます!
突然ですが、あなたはこの4つの車両の形式を答えられますか?
いきなりですが、あなたはこの4つの車両がそれぞれどんな形式なのかご存知でしょうか?
とてもマニアックな質問なので、鉄道ファン以外は「わかるか!」って思う方がほとんどでしょう。
まず、この4つの車両の共通点を見ると、前面のデザインがほぼ一緒なことがわかります。これだけ顔が一緒ならば、この4つは全て同じ形式でしょ?って思う方が多いかと思われます。
しかし、この4つの車両、全て形式が異なります。
「何言ってんだ?」って思う方もおられますが、この4つの車両、前面デザインは一緒なのに形式はそれぞれ異なります。形式は異なりつつも、近年はJR西日本の新型車両はあちらこちらで導入され、北と東では北陸地方の石川県の北部や新潟県の西部、南は和歌山県の南部、西は山口県の東部まで活躍しています。
次節より、この前面デザインを搭載している車両を細かく紹介していこうと思います。
新型顔の車両紹介
521系0番台(3次車)
新型車両の前面デザインの元祖
- デビュー年:2013年
- 1編成あたりの両数:2両
- 車両数:2両編成23本(内21本がJR西日本所属、2本がIRいしかわ鉄道所属)
- 営業区間:JR車→北陸本線(敦賀〜金沢間)、IR車→IRいしかわ鉄道、あいの風とやま鉄道(金沢〜富山間)
- 今後の展望:北陸新幹線延伸により北陸本線が第3セクターに転換し、それと共に第3セクターの会社に転属する予定
JR西日本の新型顔の元祖となる車両がこちらです。521系という形式は2006年から誕生しましたが、1,2次車は223系に準じた顔となっています。当初は223系の交直流電車バージョンとして、北陸本線、湖西線の米原、近江今津〜福井間で運用されていました。
その後は北陸本線を走っていた旧型国鉄車を置き換えるために、2009年から再び増備を進め、2011年からこの3次車の導入で北陸本線の敦賀〜金沢間のほとんどの普通列車を521系に統一することができました。また、人件費の削減という面から、ワンマン運転を行っています。
3次車の前面デザインが変更された理由としては、3次車導入前に東海道・山陽線並びに阪和線に225系0番台、5000番台が導入されていたことが要因で、225系の前面部に搭載された衝撃吸収構造を採用するために変更されたと考えられます。0番台、5000番台とはデザインが異なりますが、これらをベースとした仕様に変更されました。ただし走行機器や性能は従来車と変わらないため、2次車の続番として製造されました。
521系3次車は全て金沢総合車両区に在籍しており、主に敦賀〜金沢間の普通列車として使用されます。
また、IRいしかわ鉄道に所属している2編成は北陸新幹線金沢延伸開業直前に製造されたため、当初はJR西日本所属の車両でしたが、JR西日本で運用されることなくIRいしかわ鉄道に譲渡された異色の車両でもあります。2020年10月現在、IRいしかわ鉄道の車両は金沢〜富山間の限定運用となっていますが、2024年頃に延伸が予定されている、北陸新幹線の敦賀〜金沢間が開業すると、IRいしかわ鉄道の区間が拡大されるため(おそらく大聖寺までがIRいしかわ鉄道の管轄になる)、運行区間も拡大される予定です。
(2021.4.3更新) つい最近になって、6年ぶりに0番台が新たに2編成製造され出場しました。北陸本線では既に521系に統一されたため、このタイミングで新たに増備された理由がはっきりとしませんが、編成の増強なのか、予備車確保なのか…
ちなみに種別行先表示器の構成は、後に説明するあいの風とやま鉄道の1000番台をベースとしています。北陸新幹線の延伸が近いこともあり、ゆくゆくは第3セクターの並行在来線に譲渡されるとは思いますが、今後の動向に注目です。
227系0番台
國鐡廣嶋に革命をもたらし、今後の新型車両のベースにもなった車両
- デビュー年:2015年
- 1編成あたりの両数:2両または3両
- 編成数:2両編成42本、3両編成64本
- 営業区間:山陽本線(福山〜徳山間)、呉線、可部線
- 今後の展望:特になし
私が広島時代に何度もお世話になったこの車両。國鐡廣嶋に革命をもたらした車両として以前紹介した車両です。
この編成から種別行先表示器をフルカラーLED化し、その後の新型車両にも普及させました。また、運転台は速度メーターといった計器類が液晶表示となったグラスコックピット型が採用されました。一方で、地方の新型車両であり、コストダウンから、車内表示器はLED(スクロール式)が採用されています。
2019年に広島のシティネットワーク(山陽本線の三原〜岩国間、呉線、可部線)の車両を全てこの形式に統一しました。
227系0番台に関してはこちらの記事でも詳しく紹介しています。
225系100番台
新快速対応車両増備のキーマン
- デビュー年:2016年
- 1編成あたりの両数:4両または8両
- 編成数(2021年4月現在):4両編成7本、8両編成7本
- 営業区間:東海道本線(米原〜神戸間)、山陽本線(神戸〜上郡間)、北陸本線(敦賀〜米原間)、湖西線、草津線、赤穂線(相生〜播州赤穂間)
- 今後の展望:絶賛増備中、144両を製造し、網干の221系を奈良に転属させ(一部223系を京都に転属)、201系を置き換える予定
新快速の12両編成化を強化させる目的で増備されましたが、227系が登場していたこともあり、前面デザインを227系と同様のデザインに変更し、種別行先表示器もフルカラーLEDに変更されました。100番台に区分し、0番台と区別を行なっています。ただし運転台や機器類は従来の225系と同様であり、車内案内表示装置も従来通りLCDが採用されています。
登場からしばらく増備はありませんでしたが、現在は網干総合車両区に在籍している221系を奈良総合車両区に転属させ、201系を置き換えるために増備が進んでおり、各地で試運転が行われています。この増備車は前照灯をHIDからLEDに変更したり、中間車にフリースペースを新設するなど仕様変更が行われています。
225系導入により201系が置き換えられる記事はこちらから!
225系5100番台
阪和線形式統一のキーマン
- デビュー年:2016年
- 1編成あたりの両数:4両または6両
- 編成数:4両編成14本、6両編成11本
- 営業区間:阪和線、大阪環状線、関西空港線、羽衣線、紀勢本線(和歌山〜紀伊田辺間)
- 今後の展望:特になし
阪和線用の225系の増備編成として、100番台同様の前面デザインを採用した車両が登場しました。こちらは5000番台と区別するため、5100番台とされています。
この形式は、阪和線、関西空港線、羽衣線で長らく走っていた103系と205系を全て置き換えるために導入された車両です。そのため、4両編成に加えて6両編成が新たに登場しました。
4両編成は223系0番台、2500番台、225系5000番台と共通運用を組み、阪和線の関空・紀州路快速から普通まで、紀勢本線の普通として幅広く使用されます。また、5100番台のみ羽衣線のワンマン運転に対応し、ピストン運行されています。
6両編成は103系または205系の6両編成の代替がメインのため、阪和線の普通を中心に運行されています。また、6両編成は他の車両と併結運転を行わないため、前面の転落防止幌がついておらず、近郊形車両では珍しく女性専用車両が設置されています。
323系
大阪環状線のブランドイメージを一新した車両
- デビュー年:2016年
- 1編成あたりの両数:8両
- 編成数:8両編成22本
- 営業区間:大阪環状線、ゆめ咲線
- 今後の展望:2020年に323系を使用した自動運転試験を実施。もしかすると数年後には自動運転が本格化する?
大阪環状線に乗り入れる一般車両を全て3ドア車に統一し、103系と201系を置き換えるために導入された車両です。この形式から、前照灯をLEDに変更し、制御装置にフルSiC-MOSFET素子のVVVFインバータを採用しました。
103系と201系を置き換え、大阪環状線の運用を基本とするため、座席はロングシートが採用され、ドア上部や通路端にLCDの車内案内表示器を採用、自動放送装置も本格的に搭載されました。
大阪市内を走行するため、女性専用車両も設置されています。また、大阪駅の天満方が最も混雑しやすいことから、8号車(1番近い号車)は座席数を減らす代わりに立ちスペースを増やしたことで、混雑緩和対策を施しています。
【あいの風とやま鉄道】521系1000番台
僅かに残る国鉄車を置き換えるために…
- デビュー年:2018年
- 1編成あたりの両数:2両
- 編成数(2021年2月現在):2両編成2本
- 営業区間:あいの風とやま鉄道、IRいしかわ鉄道、えちごトキめき鉄道(市振〜糸魚川間)
- 今後の展望:残り3編成を導入し、413系を完全に置き換える予定
JR西日本ではありませんが、元JR西日本だった路線で同じ521系が走っているため紹介しています。521系1000番台は0番台3次車とほぼ同じ設計ですが、種別行先表示器がフルカラーLEDとなっていることから1000番台と区分されています。また、他の形式と異なり、側面の種別行先表示器が分けられて表示するタイプとなっています(他は一体化した表示器である)。
あいの風とやま鉄道は2015年の開業時、521系0番台2次車の一部車両と、国鉄型車両の413系を譲渡されて運行しています。その413系を置き換えるためにこの形式が導入しています。2022年までに5編成が揃う予定で、413系全てを置き換える予定となっています。
227系1000番台
和歌山地区の国鉄車置き換えに尽力
- デビュー年:2018年
- 1編成あたりの両数:2両
- 編成数(2021年4月現在):2両編成34本
- 営業区間:和歌山線、桜井線、紀勢本線(和歌山市〜和歌山間、和歌山〜新宮間)
- 今後の展望:和歌山線(和歌山〜橋本間)において、2023年に移動閉塞の保安システムを導入する予定であり、ATCの車上装置を搭載する予定
奈良、和歌山地域で走っていた国鉄型車両の105系と113系、117系を置き換えるために導入された車両です。地方で走るために227系としましたが、0番台とは大きく異なり、座席がロングシートであること、制御装置や前照灯が323系と同様のものであることが挙げられます。
1000番台の導入とICOCAカードの使用可能エリアの拡大により、車載型IC改札機が導入されているのが特徴です。2021年3月のダイヤ改正で紀伊田辺〜新宮間の普通列車の運用にも入り、JR西日本区間の紀勢本線の車両を全てJR化後に導入された車両に統一されます。また、和歌山線の和歌山〜橋本間において、2023年頃に無線式ATC(自動列車制御装置)を導入する予定であり、今後は227系にATCの車上装置が設置される予定です。
521系100番台
七尾線の国鉄型置き換えの切り札
- デビュー年:2020年
- 1編成あたりの両数:2両
- 編成数(2021年4月現在):2両編成18本(内15本がJR西日本所属、内3本がIRいしかわ鉄道所属)
- 営業区間:七尾線、IRいしかわ鉄道(金沢〜津幡間)
- 今後の展望:特になし
北陸本線系統が521系でほぼ置き換えられたのに対し、未だ413系や415系といった国鉄型車両が走っている七尾線。その七尾線にも遂に521系が導入されました。七尾線専属ということで、青帯の0番台に対し、赤帯の100番台として区別されて導入されました。また、金沢〜津幡間は第3セクターのIRいしかわ鉄道に乗り入れていることから、線路使用料を相殺するために、IRいしかわ鉄道所属の100番台も導入されています。
1000番台同様フルカラーLEDの種別行先表示器が採用されましたが、側面の種別行先表示器は一体化したものが採用されました。また、2021年3月のダイヤ改正より、七尾線内のICOCA導入とワンマン運転開始により、車載型IC改札機を搭載しています。
この形式の特徴は走行機器にあり、従来の521系のような竜巻インバータの音を起動時に出した後、SiCの音に変わって一気に静かになる今までにない音を出す車両として話題になっています。
なぜ形式がバラバラなのに同じ顔なのか?
ここまで4形式、7番台区分の車両を紹介していきましたが、なぜここまで同じ前面顔の車両があちこちで走っているのでしょうか?
1番の理由としては、共通の前面デザインにすることで設計や製造にかかるコストを抑えたり、機器の保守点検を容易にすることが挙げられます。形式ごとに顔が違ければメンテナンスのやり方や製造工程を分けなくても良いですからね。
また、数十年後の新形式投入で他線に転属してもすぐに使えるようにという将来的な意味も込めていると考えられます。あくまでも私の予測に過ぎませんが。
ただ同じ顔でも車内設備が異なったり、走行機器が異なったりしているので、それらの違いを見つけるだけでも面白いのではないかと思います。
まとめ:新型前面デザインはJR西日本の新たな顔として色んな場所で活躍している
いかがでしたでしょうか?
今回は結構マニアックな話題として、JR西日本の新型顔について説明していきました。
JR西日本と3セクに転換された元JR西日本区間において、様々な場所で活躍を続けており、今後も運用範囲を拡大していきます。
JR西日本の新たな顔として、これからもたくさんの活躍をしていただきたいですね!
今回はここまでとなります。ご覧いただきましてありがとうございました!