皆様、こんにちは。
チームネットラボのU5swです。
2020年も終わりに近づき、毎年恒例の3月ダイヤ改正の概要が発表されました。
今回は広島地区のJR西日本の改正内容に関して紹介していきます!
どの地域にも当てはまるが、全体的に厳しい内容に…
まず、今回のダイヤ改正ですが、広島地区に限らずほとんどの地域で厳しい内容のダイヤ改正となりました。
今年は感染症の流行により「STAY HOME」を余儀なくされ、通勤通学や旅行といった交通機関を使う移動の制限であったり、緊急事態宣言解除後もテレワークや移動の減少で利用客が大幅に減少しました。GoToキャンペーンもここ最近の感染者増加により取りやめとなったことも影響し、各鉄道会社は苦戦を強いられています。
鉄道会社のダイヤ改正における1番のトピックは、「終電時刻の繰り上げ」です。以前の記事でも紹介しましたが、深夜時間帯の利用客の減少、ならびに深夜時間帯の線区における保守点検の作業時間確保に伴い、ほとんどの路線で繰り上げが行われることとなります。次章では、広島地区の繰り上げがどの程度行われているのか、どんな影響を与えるのかを見ていきましょう。
小規模繰り上げから大規模繰り上げまで… のぞみ最終便にも間に合わない?
まず、広島駅のダイヤ改正前後の終電時刻を比較します。
ダイヤ改正前
- R山陽線(岩国方面)→0:08発 岩国行き
- B可部線(あき亀山方面)→0:05発 あき亀山行き
- G山陽線(西条方面)→0:07発 西条行き
- Y呉線(広方面)→0:11発 広行き
- P芸備線(下深川方面)→23:46発 下深川行き
芸備線以外の路線では、東京からの最終新幹線「のぞみ109号」が広島駅に23:51に着くため、新幹線から各路線の最終列車に乗り継ぐことができます。
ダイヤ改正後
- R山陽線(岩国方面)→0:04発 岩国行き(4分繰り上げ)
- B可部線(あき亀山方面)→23:41 あき亀山行き(24分繰り上げ)
- G山陽線(西条方面)→0:03発 西条行き(4分繰り上げ)
- Y呉線(広方面)→23:32発 広行き(39分繰り上げ)
- P芸備線(下深川方面)→23:20発 下深川行き(26分繰り上げ)
なんと、ダイヤ改正で可部線と呉線が最終の「のぞみ109号」から乗り継ぐことができなくなってしまいます(中小的な駅からであれば23:44着の「こだま877号」にも間に合わない)。可部線の三滝〜あき亀山間、呉線の矢野〜広間の利用者は、改正後は23:07着の「のぞみ105号」が可部線と呉線(芸備線も)の最終列車となってしまい、東京や名古屋、大阪といった都市への滞在時間が従来よりも40分以上短くなってしまいます。なお、可部線の大町なら岩国行きに乗車し、1駅隣の新白島駅でアストラムラインに乗り換えると辿り着くことができます(なお運賃はその分割高となってしまいます)。
一方、山陽線も繰り上げはありますが、少し時間が短縮されただけで従来と同様最終列車に乗り継ぐことができます。
個人的に山陽新幹線の終電をよく利用しており、新幹線からの需要はあると思っていましたが、まさか山陽線以外終電に間に合わなくなってしまうとは想像がつきませんでした。もちろん、利用者が少なくなっていること、保線作業の時間確保のことを考えると致し方ありませんが、あまりにもシビアすぎるし、新幹線からの利用客は考慮してあげてほしいと思いましたが、この改正でどうなるのか注目していきたいですね。もしかすると今後、必要という声が挙がったり、このシビアな状況がひと段落した場合、ダイヤ修正で終電時刻を戻すか、多客時の臨時列車として走るかもしれません。
その他もあらゆる駅で終電の時刻が繰り上げられていますので、以下の画像より紹介しておきます(全てJR西日本プレスリリースより引用)。
終電繰り上げだけではない?日中時間帯もシビアな内容に…
ここまで終電時刻の繰り上げについて述べてきましたが、感染症の影響力は終電だけに留まりません。日中時間帯も一部線区において一部列車の運休や運行区間短縮が行われます。路線ごとに詳細を見ていきます。
R山陽線(広島〜岩国間)
広島〜岩国間においては、10〜15時台を中心に、全体的に大きく変わります。
これまでの運行形態は、平日に岩国発着の普通列車が3本、大野浦発着の普通列車が1本で、広島〜大野浦間は概ね15分ごとに1本運行されています。
土休日は岩国発着の普通列車が1本、快速列車(シティライナー)が2本、大野浦発着の普通列車が3本で、広島〜大野浦間は普通列車が概ね15分ごとに1本、快速列車が概ね30分ごとに1本運行されています。また、大野浦駅で大野浦発着の普通列車と大野浦〜岩国間各駅停車の快速列車が緩急接続を取っています。
しかし、このダイヤ改正において、岩国発着の普通列車が2本、大野浦発着の普通列車が2本となってしまいます。また、土休日限定の快速列車も、一部時間帯(広島発10,11,17,18時台に1本ずつ)を除き運行されなくなってしまいます。広島〜大野浦間の普通列車は従来通り概ね15分に1本の運行ですが、大野浦〜岩国間は概ね30分に1本の運行に留まってしまいます。快速シティライナーに関しては、豪雨災害を乗り越え今年復活したばかりですが、まさかのシビアな状況に伴い、廃止までは至りませんが、上下合わせて8本しか運行されなくなってしまいます…
快速シティライナーに関しては主に広島から宮島への観光輸送をメインに速達運転を行なっているため、この状況下で利用者も少なくガラガラでは走らせる意味もないので大減便は致し方ないでしょう。
また、大野浦〜岩国間に関しても基本的に利用者は少なく、広島〜宮島口間の利用者がほとんどなので、こちらの減便も致し方ないでしょう。むしろ30分に1本とほぼ等間隔で運行されるためわかりやすくなると思います。
B 可部線(広島〜あき亀山間)
平日、土休日共に概ね9〜16時台において、緑井〜あき亀山間が減便されることとなります。
これまでの運行形態は、広島〜あき亀山間の普通列車が3本、20分に1本運行されています。それがダイヤ改正で3本の内1本が緑井発着に短縮されることとなり、緑井〜あき亀山間は2本となります。
ここで気になるのが運転間隔。毎時1本が緑井発着となるため、あき亀山発着と緑井発着が20分サイクルで交互に運行する形ではないと考えられます。
広島〜緑井間が20分サイクルで、緑井〜あき亀山が20分、40分と不均一になるのか?
あき亀山発着の普通列車が30分サイクルで全線通し、間に緑井発着の普通列車をどこかに入れるのか?
いずれにしろ、どこかの区間において間隔が不均一となってしまうので、時間帯においては間隔が空き不便を強いられる可能性が高まります(周辺に広島市内に向かうバスは走っていますが…)。個人的に15分サイクルであき亀山発着と緑井発着を交互に運行する方がスマートかなと思うのですが…(流石にこの時期は実現しづらいか…)
可部線は大町や緑井を境に利用者の差が現れ、朝夕時間帯には緑井発着(一部梅林発着)の列車が運行されます。こういった状況が昼間時間帯にも現れたことによりこのような減便に繋がったのかなと思います。利用者の少ない時間帯や場所はことごとく減らされる、そんな改正であることが分かります。
唯一の利点としては、可部線が全線単線であることから、減便によって行き違い待ちが減ることで所要時間が短縮される効果が現れる可能性が高いということです。その理由として、日中時間帯は三滝駅、古市橋駅、梅林駅、可部駅で行き違い待ちが発生するので、緑井〜あき亀山間を中心にどこかの駅で行き違い待ちが減り、その分短縮されるからです。
G 山陽線(広島〜糸崎間)
個人的に1番衝撃を受けた減便でした。
平日、土休日共に、概ね9〜16時台において、白市〜糸崎間が減便されることとなります。
これまでの運行形態は、糸崎発着の普通列車が2本、白市発着の普通列車が2本が交互に運行され、広島〜白市間は概ね15分に1本、白市〜糸崎間は概ね30分に1本運行されています。
それが今回のダイヤ改正で、糸崎発着が1本、白市発着が3本となり、白市〜糸崎間はなんと1時間に1本の運行となってしまいます… 三原〜糸崎間は岡山支社の普通列車も数本乗り入れるためそこまで大きな影響はないと考えられますが、問題は白市〜三原間。利用者が少ないとはいえ、青春18切符シーズンでは通過利用者もいるため1時間に1本は痛いかなと考えられます(ただし山陽本線の上郡〜和気間や岩国以西も本数が少ないが…)。また、広島空港と白市駅を結ぶ連絡バスがあり、それを利用して三原や尾道方面へ向かう方にとっても痛いですね…(こちらも直通バスがあるとはいえ…)。
広島〜三原間には山陽線の他に呉線と山陽新幹線も走っていますが、呉線は遠回りかつ本数は山陽線より少なく、山陽新幹線もこだま号が毎時1本走るくらいなので不自由さはあると思います。
もちろん、白市〜糸崎間は元から利用者が少ない区間ですので減便も致し方ないと思いますし、岡山方面との普通列車の接続は考慮されると思います。こうなった以上受け入れるしかないですね…
この他にも土休日に2本のみ西条始発の快速シティライナーが運行されていますが、改正後は1本に減らされます。
P 芸備線(広島〜三次間)
芸備線においても、概ね9〜15時台において下深川〜志和口間で減便が行われます。芸備線も下深川や狩留家を境に利用者に大きな差が出るため、利用の少ない区間では本数を減らさざるを得ません。
また、広島〜三次間において下深川〜三次間で快速運転を行う快速みよしライナーも本数が平日では2往復、土休日には4往復に減らされます。
新幹線もこだま号を中心に減便へ
在来線だけでなく、新幹線も運転取りやめや運行区間短縮が行われます。広島駅発着の対象の列車は以下の通り。
- こだま869号→岡山20:16発,広島21:40着
- こだま870号→博多18:31発,広島20:18着(広島→岡山間取りやめ)
- こだま835号→岡山6:57発,広島8:05着(土休日運行取りやめ)
- こだま836号→広島6:35発,岡山7:39着(土休日運行取りやめ)
土休日の朝、全日の夜間を中心に減便されます。近距離利用者は注意が必要です。
決して悪い要素だけとは限らない?
ここまで終電繰り上げや減便といったネガティブな話題が続いていますが、この改正で良い点も挙げていこうと思います。
減便した分、1列車あたりの両数が増える
列車の本数を減らすということは、使わない車両が何編成か出てくることになります。しかし、その使わない車両を活用して編成両数を増やせるようになります。現在広島支社の車両は新型車両の227系が使用されており、2両編成と3両編成をつなぎ合わせて2〜8両編成を構成しています。日中時間帯は2両や3両で走る列車も多く、列車と区間によっては混雑することもあり、この時期に密となる空間を可能な限り避けるという意味でも一部の列車では両数を増やすのではないかと考えます。ほとんどの列車を4〜6両編成で運行させることで密を軽減できると思います。
また、プレスリリースでは、可部線の夜間時間帯の列車を全て4両編成にするという情報も出ています。これもなるべく車内の混雑を緩和する目的での増強だと思います。改正後全体的にどうなるのか注目です。
広島始発ののぞみ号の時間短縮により、東京へは9時台に到着可能に
東海道新幹線がN700系に統一され、所要時間が短縮されたことから、その効果が広島始発ののぞみ号にも効果を与えます。
これまでの「のぞみ88号」は広島6:03発で東京には10:03着でしたが、改正後は広島6:00発で東京には9:57着となります。始発時間が3分繰り上げられる他、全体の所要時間も3分短縮され、3時間57分で東京に10時前に辿り着けるようになります。この効果で滞在可能時間を増やすことができます(ただし山陽線民に限る)。
朝のひかり号が東広島に停車
朝に運行されている新大阪発博多行きの「ひかり591号」が新たに東広島に停車するようになります。これにより、福山、三原方面から広島大学といった学校への通学、ならびに東広島から広島市内、または山口、福岡方面への通勤通学がより便利になります。
東広島駅の広島方面行きの7時台はこだま号2本(土休日は1本)、ひかり1本が停車するようになります。また、ひかり591号はN700系16両編成で運行されるため、ゆったりと利用することができるのも特徴です。
まとめ:シビアな状況を乗り越えよう
いかがでしたでしょうか?
今回は2021年3月のダイヤ改正における、JR西日本広島支社の変化について、広島駅を中心に紹介して行きました。
終電繰り上げや日中の減便など苦しい運行を強いられていますが、皆様の協力の元、1日でも早くこの状況を改善できるよう心がけましょう。
冬に入り、感染者が爆増中です。引き続き感染対策を十分行い、乗り越えて行きましょう。
今回はここまでとなります。ご覧いただきましてありがとうございました。